ナースコールは患者さんが気持ちを伝える手段でもある

17年目のベテラン看護師

私は47歳で、看護師歴17年目です。2人の子供がいますが2人とも独立して、娘は私と同じ看護師の道に進みました。3歳の孫との時間が今の私の1番の楽しみです。勤務先は、腎内科・泌尿器科の病棟に合計13年、現在は透析室に勤めて4年目になります。19床の有床診療所ですが、全身麻酔を含めた手術が週に10例以上あります。術後の患者と腎不全保存期・ターミナル期・抗癌剤治療患者と入院患者も様々です。

高齢の女性患者が毎晩頻繁にコールを

私が病棟勤務になって4年目くらいの時の話です。その方は、80歳の女性、膀胱癌のターミナル期の患者さんで、疼痛コントロール目的で入院していました。4人部屋に入院していましたが、ご主人もなくなっており子供や親せきも近くにおらず、面会に来る人はほとんどいませんでした。入院して、2週間くらい経った頃から、夜間から朝方にかけて、ナースコールを鳴らしてくるようになりました。部屋にいっても訴えもないのですが、毎晩そのナースコールはつづきました。日中、活動時間を増やしたり眠剤の内服を開始したりしましたが、変わりませんでした。

なんとなく患者さんを詰所に誘って

私が夜勤の日のことです。いつもと同じようにナースコールがありました。相方のスタッフが訪室しましたが、いつもと同じように何も言わなかったとすぐに帰ってきました。その1時間後、また、ナースコールがありました。相方が休憩中だったので私が訪室しました。やはり、彼女は何も言いませんでした。そこで私は、「詰所にきますか?」と……何でそんな風に言ったのか、自分でも分かりませんが、彼女にそう声をかけました。

ナースコールには患者さんの気持ちがこもっている

私が声をかけたとたん、患者さんはにっこり笑って頷かれました。そうして、詰所に一緒に行き、朝まで、お茶を飲みながら家族や昔のこと等、色々なことを話しました。次の日から、その患者さんはナースコールを押さなくなりました。彼女が何を望んでいたのかは分からなかったし、その対応がよかったかも分かりません。その時は、ナースコールは痛みやきつさがあることを伝えるだけの手段ではなく、気持ちを伝える手段でもあると感じました。最近は、その時の気持ちも忘れて対応することが多くナースコールが聞こえると、正直言って、「もー!」と思う時もあります。反省しました。