小児病棟夜勤のナースコールで恐怖体験

子育てしながら看護師を続けて

50代の女性看護師です。社会人を経て看護師になり、大学病院に4年間勤めた後、子育て休業を挟み、市民病院に転職して8年になります。夫と子ども4人の6人家族です。大学病院の小児科病棟にいるときに、ちょっと怖いナースコール体験をしました。

深夜に患児からナースコール

そこは、手術目的の15歳以下の小児が対象の、約50床の急性期病棟でした。当時私は配属されたばかりの新人でした。少し慣れてきて、深夜帯3人の勤務ができるようになり、ステーションで記録をしているときにナースコールが鳴り対応しました。一番奥の、学童の男の子8人部屋からでした。当時はコールボタンを押すだけのタイプで、会話は部屋内の天井のマイクから行うものでした。「Aくん、どうしたの?」というと小さな声で「○○くんがいるよ。」というのです。「え?」と私。「○○くんが見てるよ。」と。

見えない誰かが病室内にいる?

一瞬、身体が凍り付き、寒気がして、返事ができなかったことをいまでもはっきりと覚えています。とりあえず夢を見たりして夜中に怖がる子も多くいるので、急いで部屋に行ってみました。ライトだけの薄暗い廊下の奥にある部屋に入ると、Aくんがちょこんとベッドの上で座ってこちらを見ていました。私の顔を見ると「ね、○○くんが帰って来たでしょう?ずっといるよ。」と入り口入って右上を指差すのです。

亡くなったルームメイトが戻ってきた?

体中に鳥肌を立てながら見てみても、指差す方に見えるものはなく、状況が飲み込めずに立ち尽くしてしましました。Aくんがいう、○○くんとは1週間前までこの部屋にいて、Aくんととても仲良く過ごしていた9歳の男の子でした。部屋のみんなにお見送りしてもらって手術に向かい、術後はリカバリールームで過ごしましたが、急変して数日前に亡くなっていたのです。部屋の子どもたちにはそのことは知らせていませんでしたので、Aくんがいう内容が本当に○○くんが見えているのか、錯覚や夢なのか……夜中、本当に怖いと思った出来事でした。

あれはいったいなんだったのか

そのときはとりあえず、スタッフを呼び、状況を説明。Aくんのそばで「心配ないよ、○○くんもう帰るからね。また昼間に遊ぼうね。」などと声をかけながら、寝かしつけました。Aくんは、おかしいな、というような表情をしながらも私の対応に素直に従って布団に入り、その日は静かに休んでくれました。しかし、このような出来事が夜、数日続き、結局Aくんは精神科受診になりました。その後のことは私は知らないのですが……いま思い出しても背筋が寒くなる気がします。